ホテルマンが実践するポジティブな心身の保ち方

人と多く接するホテルマンならではのストレス解消法

現在ホテル業界はインバウンド需要などもあり、非常に過熱気味です。
過当競争状態を勝ち抜くために過剰なサービスや大幅な宿泊費値下げをしている施設も多く、それが現場へのしわ寄せとなっていることがよくあります。

ホテルマンに限ったことではなく接客業界全般に言えるのが「クレーマー」の問題です。
いわゆる「クレーマー」は、些細なサービス不足や自分の不満を、担当者にいつまでも文句として言い続ける人のことを言います。

接客の難しさは、仮に全く同じサービスを提供しても、それで100%相手を喜ばせることができるわけではない点です。

しかし仮にクレーマー側の話が理不尽なものであったとしても、それを現場で独自に切り捨てるわけにはいかない、という事情もあります。

ホテルマンとして勤務をするということは、常に人間関係のストレスを抱え続けていくことにもなるのです。

業界外の人間にしてみると、毎日のように違ったお客さんが来てそれぞれ好き勝手な希望を言いたがる仕事をしていて大変じゃないかと思うところですが、一流ホテルのベテランスタッフになると、それくらいで弱音を吐くことはほとんどありません。

というのもベテランスタッフになってくると、クレーマーやそれに近い意見を言ってくる人たちのタイプというのが大体つかめているので、対応に戸惑ったりすることがなくなるからです。

クレーマーの多くは、本当にそのサービスのみが気にいらなくて文句をつけているということはあまりなく、実際にはその背後にある人間関係が問題の本質になっていたりします。

クレーマーの本質は「自分の話を聞いてほしい」

そもそもとしてクレーマーとしてしつこく担当者に食い下がってくるタイプというのは、家庭や仕事でうまくいって折らず、他人を受け入れる余裕がまったくない人です。

本当にサービスや製品に問題があるということを訴えたいと思っている人であるなら、改善策をきちんと理論立てて説明すれば、そこで納得をして引き下がってくれます。

しかし悪質なクレーマーとして食い下がる人たちというのは、実際のサービスよりもむしろ「自分の話を聞いてもらいたい」と考えています。

そこでホテルマンが仕事をしていく上でポジティブな精神を守るためにしているのが「傾聴」です。

「傾聴」とは相手の言い分を反論せずただじっと聞き続けるということで、べつの意見を言ったり直接的なアドバイスをしたりといったことは一切行いません。

不思議なことに世の中のほとんどのクレーマーは、相手がじっくり自分の話を聞いてくれるとなるとあっさり引き下がってくれるものです。

むしろ生意気なクレーマーだから言い負かせてやるとばかりに攻撃的に対応をしてしまうと、それがかえって相手の火に油を注いでしまうことにもなりかねません。