階段を上って息切れを起こす理由とは?
下半身の筋肉の衰えが息切れの原因
いつまでも気持ちが若いつもりでも、着実に体力の衰えというのは訪れて来るものです。
老化現象の一つといえるのが、階段をのぼったときの息切れです。
昔はどうって事のなかった長い階段も、気がつけば登りきったときにはゼイゼイと息を切らしてしまう事になってしまいます。
こうした階段の息切れは普段から全く運動をしていない人にだけ起こるわけではなく、どちらかというと普段から運動をよくする人にもしばしば見られます。
なぜ階段をのぼった時に息が切れるのかというと、それは普段あまり使わない種類の筋肉を多く使用するからです。
階段を使うときには、通常の平面を歩く時と異なり、下半身の太もも部分の筋肉をより多く使います。
筋肉を多く使用するということはその部分に血液が多くめぐり、血液中の酸素が急激に消費される事になってしまうので、肺に取り込む酸素が不足がちになり、息切れとなってしまうのです。
普段から筋肉を使っているという人のうち、長距離走など下半身を重点的に鍛えるトレーニングをしている人の場合には、長距離に耐えられる肺活量が維持できるので息切れは起こりにくくなります。
一見筋力がありそうな人も年齢が高くなると持久力が衰えてきてしまうものなので、もしそれまでなかった息ぎれが起こるようになってきたら、筋力全体が衰えてきたサインであると思った方が良いかもしれません。
肺の病気である可能性もあります
一般社団法人日本呼吸器学会では病院を受診する人の健康状態を評価するため、息ぎれがどういった状況で起こるかで詳しく測定する表が作られています。
評価表はグレード0からグレード4までの5段階があり、息ぎれが起こった時はどういった状況だったかということを細かく問診します。
詳しくは協会の公式サイトを見てもらいたいのですが、極簡単にまとめて説明すると最も軽い「グレード0」では「激しい運動をした時だけ息ぎれがある」というレベルにとどまっているのに対し、最も深刻とされる「グレード4」では「息ぎれがひどく家から出られない」といった症状が認められます。
普段の生活では全く息ぎれがないのに、階段を登った時に出る場合は、上記で説明したような筋力の衰えが考えられるでしょう。
しかしもし普段の生活で例えば洋服を着替えるだけでもゼイゼイと息が切れる場合、それは「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」の疑いが考えられます。
COPDは主に喫煙者や副流煙を長年吸ってきた人に表れる症状で、肺の中の気管支に異常が起こり正常に酸素を取り込めない状態になっているのです。
他にも肺の内部に腫瘍ができるなど、肺機能が一部働かなくなってしまうと、ちょっとしたことで息ぎれが起こるようになります。